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2026 追記: 旧 VuePress ブログから移植した記事(初出 2021 年、購入から半年程度の使用感を書いていた)。2026 年現在、A シリーズの現行は NW-A300 シリーズ(NW-A306 国内 / A307 海外、2023 年発売)。NW-A105 自体は生産完了で、新品流通は在庫限り。骨子は今も参考になるが、購入を検討するなら現行モデルとの比較で読むこと。

通勤と外出時の音楽再生用に、5 年以上 SONY のウォークマン NW-A105 を使ってきた。USB Type-C と microSD と Android が揃った最初期のウォークマンで、当時としては「ようやくまともな端子になった」モデル。

ただし 2026 年の視点で振り返ると、長所と短所がはっきり分かれる端末でもある。この記事は、長期使用での実感と、現行の NW-A300 シリーズ・スマホ単体運用との比較を整理する。

結論 — Type-C / microSD / Android が揃った最初期 DAP、新規購入なら現行 A300 を勧める

短い答え: NW-A105 は「ウォークマンに Type-C と Android が載った最初の世代」として価値があったモデル。音質設定の細かさは今も通用する。ただし CPU とバッテリー周りが弱く、新品で買うなら 2026 年現行の NW-A300 シリーズを勧める。

理由は、NW-A105 の弱点(もっさり動作・待機消費の大きいバッテリー)が、いずれも内部パーツに依存する性質のもので、ソフトウェアアップデートで根本解決できる類ではないから。バッテリーセーバーで運用面はマシになったが、根の問題は残る。

買って良い人 / 避けたほうがいい人を整理する:

  • 買って良い: 中古で安く手に入り、有線イヤホン + microSD + 細かい音質設定を使い倒したい人
  • 避けたほうがいい: 新品で買おうとしている人、スマホ単体で音楽が完結している人、バッテリー持ちを最優先する人

外観

短い答え: 3.6 インチタッチパネルの小さな Android 端末。右側面に物理ボタンが集中し、下部に 3.5mm イヤホンジャック・USB Type-C・microSD スロットが並ぶ。

NW-A105 正面

ハイレゾ対応、Android OS のウォークマン。操作はほぼタッチパネル。

項目スペック
液晶3.6 インチ
サイズ55.9 × 98.9 × 11 mm
重量103 g
OSAndroid 9(発売時)
端子USB Type-C / 3.5mm イヤホンジャック / microSD

(公称)

NW-A105 後ろ

背面はマット仕上げで Walkman のロゴ。指紋は目立ちにくい。

NW-A105 左側面

左側面はボタン類なし。

NW-A105 右側面

右側面に操作ボタンが集中。左から「ロック / 戻る / 再生・停止 / 進む / 音量− / 音量+ / 電源」の順。鞄やポケットに入れたまま、ブラインドで再生制御できる物理ボタンの並びは DAP として正解の設計。

NW-A105 下部の端子類

下部に 3.5mm イヤホンジャック・ストラップホール・USB Type-C・microSD スロット。3.5mm が残っているのは、有線派にとっては大きい。

NW-A105 ライブラリー画面

ホーム画面は Android 標準に近い構成。アプリも自由に追加できる(Google Play 対応)。

良かった点

短い答え: USB Type-C・microSD・Android の3拍子と、ソニー独自の音質処理機能の細かさ。

USB Type-C — これだけで乗り換えた

NW-A105 を選んだ最大の理由がここ。旧モデルまでのウォークマンは WM-PORT という独自端子で、専用ケーブルを持ち歩く必要があった。

Type-C 化で、スマホ・タブレットと同じケーブルで充電できるようになる。出張先や旅行先で「ウォークマン用のケーブルを忘れた」事故が消える効果は大きい。

microSD で容量を後付けできる

本体ストレージは 16GB と控えめ。ハイレゾ音源を本体だけで管理するのは無理がある。

逆に言えば、microSD 前提の設計。本体は OS とアプリだけに使い、音源は microSD に逃がす運用が現実解。最大 1TB の microSDXC まで使える(公称)ので、ライブラリ拡張に余裕がある。

音質設定の引き出しが多い

ソニー製 DAP の本領が出る部分。

NW-A105 イコライザー画面

イコライザーは 10 バンド近くで細かく調整できる。ジャンル別プリセットも用意されている。

NW-A105 ノイズキャンセリング設定

ノイズキャンセリングは対応イヤホン(IER-NW500N など)と組み合わせる前提。通勤電車での騒音はかなり抑えられる。

音質処理機能の主要なものは以下:

  • DSEE HX: 圧縮音源をハイレゾ相当にアップサンプリング
  • DC フェーズリニアライザー: 位相特性を補正してアナログアンプ風の音にする
  • ダイナミックノーマライザー: 楽曲間の音量差を均す
  • バイナルプロセッサー: アナログレコード風の音に加工
  • ClearAudio+: ソニー推奨の自動最適化プリセット

「全部 ON」が必ずしも良くない、というのは使い込んでわかる。曲ジャンルごとに DSEE HX のオン・オフを切り替える、といった調整がハマると音は化ける。

Android なので拡張が効く

Android 9 ベース。Google Play 経由で Spotify / Apple Music / YouTube Music が入る。ローカル音源と並行して、ストリーミングも 1 台で完結できる。

Bluetooth でスマホからプレイリストや音源を流すような連携もそのまま使える。

微妙だった点

短い答え: バッテリー持ちと CPU 性能。どちらもパーツ依存でソフトでは解決しない。

バッテリー消費が大きい

最大の不満点。

電源を入れているだけで目に見えてバッテリーが減る。再生していない待機状態でも、1 日放置で残量が大きく削れる。

公称ではハイレゾ再生で約 26 時間あるが、実使用では「使っていない時間の消費」が体感を下げる。後日のアップデートでバッテリーセーバー(一定時間後の自動電源オフ)が追加され、運用面はかなり改善した。それでも根本解決ではない。

通勤・通学用途で「家か職場で毎日充電できる」前提なら問題ないが、丸 2 日持ち歩く出張にはやや厳しい。

全体的にもっさり

CPU 性能が控えめで、アプリ起動・画面遷移・大きなライブラリのスクロールが引っかかる場面がある。

スマホと違って常時いじる端末ではないので致命的ではないが、Spotify アプリを開いて検索バーで日本語入力、のような操作はストレスを感じる。

ソフトウェアサポートが終わっている

2026 年現在、NW-A105 の Android 9 はメジャーアップデートが止まっており、セキュリティ的にもメインのスマホ用途には向かない。

音楽プレーヤー専用機として割り切る前提なら問題ないが、ストリーミングアプリの将来的な互換性は保証されない。

比較 — NW-A105 vs NW-A300 シリーズ vs スマホ単体

短い答え: 新品で買うなら NW-A300、コストと割り切りで選ぶなら NW-A105 中古、すべて完結したいならスマホ単体。

観点NW-A105(2019)NW-A300 シリーズ(2023〜)スマホ単体運用
OSAndroid 9Android 12 ベース各機種最新
CPU 体感もっさり改善機種次第で快適
バッテリー(公称ハイレゾ)約 26 時間約 36 時間(公称)音楽再生に占有される
本体ストレージ16GB32GB(公称)機種次第
microSDあり(最大 1TB)ありなし(多くの機種)
端子USB Type-C / 3.5mmUSB Type-C / 3.5mmType-C のみが主流
ノイキャン(独自イヤホン)対応対応非対応
DSEE HX 等の音質処理ありあり(DSEE Ultimate に進化)なし
価格(2026 想定)中古中心新品 4 万円台後半〜スマホ代に含まれる

判断軸はシンプル:

  • 音質処理と有線環境にこだわる + スマホのバッテリーを音楽で消費したくない → NW-A300 を勧める
  • 同じ要件を最小コストで満たしたい → NW-A105 中古
  • ストリーミング中心 / 完全ワイヤレスイヤホン / 1 台で完結したい → スマホ単体で十分。DAP は要らない

よくある質問

Q. NW-A105 を 2026 年に新品で買う価値はありますか? A. 新規購入なら現行の NW-A300 シリーズ(NW-A306 / A307)を勧める。NW-A105 は 2019 年発売で、CPU 性能とバッテリー持ちが弱い。中古で安く手に入り、microSD と Type-C と Android が揃った DAP が欲しいだけなら選択肢にはなる。

Q. スマホで音楽を聴くのと比べて、NW-A105 を持つ意味はありますか? A. ノイズキャンセリングや DSEE HX などソニー独自の音質処理を使いたい人、スマホのバッテリーを音楽再生で消費したくない人にはまだ意味がある。プレイリストはストリーミングで完結し、有線イヤホンも使わないなら、スマホ単体で十分。

Q. バッテリーはどのくらい持ちますか? A. 公称はハイレゾ再生で約 26 時間。実測では電源を入れた状態の待機消費が大きく、再生しなくても 1 日放置すると目に見えて減る。後日アップデートで自動電源オフのバッテリーセーバーが追加されている。

Q. microSD は何 GB まで対応しますか? A. 最大 1TB の microSDXC まで対応(公称)。本体ストレージは 16GB と少ないので、ハイレゾ音源を入れるなら microSD 前提で運用する設計。

総評 — 「DAP に Android が乗った最初の世代」を体験する端末

NW-A105 は「ようやくウォークマンが Type-C になった」と「ウォークマンが Android で動く」が同時に来た世代の端末。当時の購入動機としては十分で、5 年以上使ってもライブラリの母艦として困らなかった。

ただし新規購入を勧めるかと言うと、勧めない。CPU とバッテリーは内部パーツの設計に依存していて、後継世代で素直に改善している。中古で安く済ませる、もしくは現行の NW-A300 を選ぶ、のどちらかが現実解。

ストリーミングと完全ワイヤレスイヤホンでスマホ単体で完結できているなら、そもそも DAP を増やす必要はない。「有線イヤホン + 細かい音質処理 + microSD」のどれかを譲れない人だけが、DAP を持つ価値がある。